心筋梗塞 |
心筋梗塞(しんきんこうそく)は、心臓に酸素と栄養を供給している冠状動脈の血流量が下がり、
心筋が酸素不足状態になり壊死してしまった状態をいう。
冠状動脈は、右冠状動脈と左冠状動脈の前下行枝と回旋枝の3本から成り立ってい
る。冠状動脈の根元に近い程、壊死する心筋の範囲は広くなり、壊死した心筋は回復
せず、本来の心臓のポンプ機能を果たせないため心不全に陥り、生命の危険を招く。
原因
冠状動脈の血流量減少は、主に粥状動脈硬化などによって狭窄(きょうさく)を起こ
すことによる。
発病因子として、喫煙・高コレステロール血症(特に高LDLコレステロール血症)・
糖尿病・高血圧・虚血性心疾患の家族歴・加齢(男性45歳以上、女性65歳以上)・ス
トレス・肥満などがあげられる。
症状
胸が締め付けられるような痛みを生じる。「痛い」よりも「胸が苦しい」「重い感じ
がする」などと訴えることが多い。通常狭心症では胸痛の持続時間は数分程度である
が、安静にしていても30分以上胸痛の持続する場合は急性心筋梗塞を強く疑う。ニト
ログリセリンの舌下錠は効かない。左肩や顎への放散痛は特徴的(左肩だけが非常にこる状態)といわれる。歯痛
や、腕の重い感じのみを訴えることもある。糖尿病患者・高齢者では痛みなどの症状
に乏しいこともあり、めまい、嘔吐、心窩部痛など不定愁訴で発症することもあるた
め、見逃しにつながりやすい。
特に食後、寒い日の早朝、入浴前後、飲酒後、階段の昇降時、真夏のゴルフ中など脱
水等で発症することが多い。
治療
速やかにCCU(冠状動脈疾患集中治療室)の整った医療機関に搬送し、一刻も早い
治療を行うことが先決である。
・PTCR(血栓溶解・血行再建・再灌流療法)…血栓溶解剤を冠状動脈に注入して
血流を再開させる。
・PTCA(経皮的冠状動脈形成術)…カテーテルの先につけたバルーンで血液の通
り道を拡げる。
・CABG(冠状動脈バイパス手術)…患者本人の静脈血管を用いて、冠状動脈の狭
窄・閉塞した部分にバイパス(迂回路)をつくる手術。
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